「じゃあどうすればいいの…」


限界なんてもの、とうの昔に超えていて。
恥ずかしさのあまり目に涙が浮かぶ。

そんな中、無理矢理目を開け彼を見つめる。


「……っ」


涙で視界がぼやける中。

今度は神田くんが視線を逸らしたかと思えば、ようやく私を解放してくれた。


とはいえ、先ほどまでと同じように後ろから抱きしめられる形に戻っただけなのだけれど。


「それ、わざとやってる?」
「へ……」

わざと?
わざととは、何のことだ。


わけがわからず返答に困っていたら、彼の手が私の頭に優しく置かれた。


「うん、わかってるよ、わざとじゃないって。
でもあんな風に見つめられたらさ…」


けれどなぜか、彼は不満気に話す。
それもひとりごとのようにブツブツと。


「うわぁ、佐久間をこんなんにするお前、恐ろしい人間だな」

「お、恐ろしくなんてない…!」


すると一部始終を見ていた涼雅くんが、私にそんなことを言ってきた。