「えっと、でも神田くん、本を読むのは感情の勉強をしてるからって…」
「うん、そうだよ。
でもそれは、自分で表現するための勉強だから」
「じゃあ神田くんは…」
「ごめんね、まさかここまで素直に答えてくれるとは思っていなくて」
嘘だ、そんなの恥ずかしすぎる。
私の顔が赤くなった理由を、彼はわかっていたのに聞いてきたと言うのだ。
「い、意地悪…」
「少しやりすぎちゃったね」
「恥ずかしいよ…」
「男に免疫がないの?」
そんなの、免疫なんてものはない。
好きな人は過去にいたけれど、付き合いたいと思うほどの本気の恋ではなかった。
だからこうして触れられるのにも慣れていない。



