知れば知るほど不思議な彼の像。

喜怒哀楽の表現や感情とかは、考えるものではない。
自然と表現してしまうものなのに。



「……引いた、よね」

少し控えめな声。
きっと私が何も反応を示さないから。


慌てて首を横に振る。
引いたりなんかしない。


「こんなことで引かないよ。
だって神田くんは、私の憧れの人でもあるの」

「……憧れ」


そう、私はずっと彼に憧れていた。
周りの目を気にせず、自分を貫く神田くんのことが。


「俺もだよ」
「……え」

「図書室での白野さんは、輝いているように見えた。
本当に楽しそうで、無邪気に笑っていて。

自分が好きだと思えるものを目一杯表現する白野さんに、憧れてる」


目を細め、優しい眼差しを向けられる。
胸が温かくなった。