闇に溺れた天使にキスを。




「知らないこと全部、俺が教えてあげるから」
「……っ」


額を合わせられ、少し動けばキスできる位置へと彼がやってきた。

囁くような言い方。
色気が増しているようで、冷静ではいられない。


「教えてもらわなくても、大丈夫…」
「ダーメ。俺でいっぱいになってもらうから」
「そんなこと、言われてもっ…」


もうすでに、目の前にいる彼のことしか考えられないほど頭がいっぱいだ。

これ以上私にどうしろと言うんだ。


「俺を欲しがるまで染め上げたい」
「……っ、さっきから変だよ…」


染め上げたい、だなんて。
危険な意味を含んでいるような気がしてならない。


「白野さんは、かわいい反応ばかりするね」
「そんなことは……」


かわいい反応だなんて、そんなつもりは一切ないから。

首を横に振って否定しようとしたその時───


どちらかのスマホが音を立てた。