だって彼はいつも、自分の席で本を読んでいるというのに。
「それなのにいつも、本を読んでるの?」
好きでも嫌いでもないのなら、友達とわいわい騒いだ方が楽しいのではないかと思った。
神田くんの性格上、友達に好かれるはずだ。
「勉強してるんだ」
疑問に思っていたら、神田くんがまた質問に答えてくれた。
どうやら勉強のために本を読んでいるらしい。
つまり、新書か何かを読んでいるのだろうか。
「勉強って偉いね…新書とかは私、読めないや」
理解が追いつかないため、難しい話などはあまり好まない私。
けれど常に学年トップと噂されている神田くんは、容易に理解してしまうのだろう。
「新書?違うよ、俺が読んでるのは物語だよ」
「え……」
どうやらこの考えもハズレだったようで、なおさら神田くんの言葉の意味がわからなくなってしまう。



