闇に溺れた天使にキスを。




「本当、俺をどうしたいの?」
「え……」


神田くんを、どうしたい?
そんな風に考えたことがなくて、戸惑ってしまう。


「全部、白野さんが初めて。
こんなにも俺をかき乱すのも」


おかしい。
かき乱されてるのは私のほうだ。

余裕な彼に、乱される。


「昨日は我慢できたけど、今日は無理そうだな」
「へ…」

「もっと白野さんに触れたい」
「……っ」
「ダメ?」


また、彼は私を誘う。
選択する権利を私に与えて。

ずるいやり方。
無理矢理なんかよりも、ずっとずっとずるい。


「……ダメ」

ここで許してしまえば、彼とふたりで過ごす、“秘密”のような時間をまた望んでしまいそうな気がして。

もっと頭が彼でいっぱいになりそうだったから、私は否定の言葉を口にした。