きみのひだまりになりたい



実はわたしもここに来る前に買ってきたんだよね。このオレンジ100%。


ストローを刺したばかりの長方形を、木本くんに見せつける。一緒だ。おそろいだ。わーいわーい。あからさまにテンションを上げてみたらうっとうしがられた。




「ここの購買って、アメリカンドッグまで売ってるんだ?」




ピーマンの肉ずめをよく噛んで飲み込んだあと、木本くんが手にしたアメリカンドッグを横目に世間話をかたくなに繰り広げていく。一度や二度うっとうしく思われたって、そうそうへこたれませんよ。




「……売ってる、けど」




わたしはお弁当派だから、あんまり購買を利用したことがない。市販のお弁当やパンは見かけるけれど、アメリカンドッグまで売られていたとは。わりとメジャーなのか?


ふっくらとしたきつね色は、ほんのりとした甘みと香ばしさをまとっている。ケチャップのついたところを、がぶりと豪快に頬張った木本くんに釘付けになってしまった。


誰かが食べているとどうしてあんなにもおいしそうに見えてくるのだろう。最近アメリカンドッグを食べていなかったせいもあるかもしれない。



よし、今度買おう。
今度と言わず、明日食べよう。決まり。




「けど、だから、あー……あのさあ」


「ん?」


「なんでおれはあんたとメシ食ってんだよ」




木本くんはあぐらをかいてる足に左ひじを置き、左手で頭を軽く抱えた。一回飲み込んだ疑念を消し去るのは、存外難しかったらしい。右手のアメリカンドッグが、一口欠けた状態で垂れ下がっている。