暗い表情なんて見せていないつもりだったけど、お父さんは何か感じ取ったみたいで、わたしのそばに戻ってきてふんわりと頭を撫でた。


「何かあったらすぐ呼んでいいからな」


おっとりしてるけど、真剣な目。

頷くと勢いで何かが飛び出していってしまいそうだったから、長い瞬きを返すと、お父さんはお椀を抱え直して部屋を出て行った。


残されたわたしはベッドに寝そべって毛布に包まる。

まおちゃんは夜に来るって言ってたけど、今日は土曜日だから、たぶん家にいる。

まおちゃん、家に来てって言ったら、何か聞かれるかもしれないし聞かれないかもしれないけど、絶対に来てくれるはず。


「まおちゃん」


壁に穴なんてないし、そもそもまおちゃんの部屋ってわたしと真反対だから、呼んだって叫んだって届かない。


まおちゃんの部屋へ直通のパイプでも通してしまおうかな。

薫の部屋に寄り道してもいいかも。

まおちゃんならきっと、何それ面白そうって言うんだ。

それで、結構具体的な設計案まで出したところで、薫に馬鹿じゃねえのって言われるんだろうな。