少し小っ恥ずかしかったけど、全部素直に薫に伝えた。

わたしよりも高い目線なのに、ちゃんと合わせてくれる。


「あっそ」


ぶっきらぼうだけど、優しいところ、いっぱい知ってる。


「かおる、学校でモテるでしょう」


「は?」


間抜けな声。完全に油断してたみたい。

こういう質問、困るよね。

否定も肯定もしづらい。

わたしからしてみたら判断材料がないわけだから、どう答えたって嘘なのか本当なのかもわからないんだけど。


「だって委員長でしょ」


「イコールモテるとか言うなよ。さすがにないわ」


色々と挙げていこうと思って、最初に出てきたのがそれだった。

部活はしていないけど、推薦で委員長になって、来年度は生徒会に立候補するかもしれないって前にお父さんにだけ打ち明けているところ、実は覗いてたんだ。


「気遣いできるし」


「たとえばどんな?」


「さっき、車の中でまおちゃんの話避けてたし。何があったか聞かなかったでしょ」


そういう些細なことを汲み取るのって、すごく難しいことだし、内心どんなことを考えていたのかは知らないけど、さらっとやってる風に見せられるのもすごいと思う。


「それは別に気遣いじゃなくてさ……」


言葉尻を濁して、襟足の辺りを指先で掻きながら、視線を下げたかと思うと遠く海の向こうを真っ直ぐに見つめる。


「どんなことなら話してもいいのか迷ってたんだ。それに、何かあったってわかってるのに聞かずにいるって、ただズルいだけだと思う」


心なしか、声に覇気がない。

沈んでいるときの声のトーンだ。

人のものも自分のものも、ちゃんと識別できる。