わざわざもめ事を創るのは面倒くさいことだと思っているから。

陽の様に喧嘩を楽しんでいるわけではない。

素早く動き、相手を殴る。

ただ単調なそれの繰り返し。

陽がそれを楽しむ意味はよくわからない。

「ふう。」

俺は額の汗を拭きながら息をこぼす。

口の中に苦い血の味が広がっている。

額が切れているのか血がたれてきている。

俺はそんなのも気にせず、足下の一人の胸ぐらをつかんで起こした。