もしかして私・・・この人に・・・恋しているのかもしれない・・・。

 冬子は自分の中で、モヤっとしていた気持ちに今ようやく気付いてしまった。
 


「試しでいいからって、俺言ったけど。その言葉は取り消す」

「え? 」


「本気で付き合ってほしい。もう俺、お前なしじゃ生きられないから」

「何・・・言っているんですか? ・・・私・・・」


「愛している・・・。お前だけを・・・」


 熱い目で見つめられ、冬子は何も言えなくなった。


「この前。・・・あれは、同僚に相談があると言われて付き合っていたんだ。いきなりホテル街に連れてこられて、抱きつかれただけだったんだ」


 素直な颯の言葉が冬子の心にしみてきて、そっと頷いた。


「良かった。信じてもらえて」


 安堵な目で見つめる颯を、冬子も見つめた。


 お互い引き合って、唇が重なった。


 唇が重なると、お互いに求めあい・・・キスは激しくなる・・・。

 激しくなるキスの音が部屋に響き渡ると、お互いの服を脱がしていった・・・。


 
 広いベッドに冬子をそっと寝かせる颯・・・。


「綺麗だね・・・」


 産まれたままの姿の冬子を見て、颯が微笑んだ。

 冬子は恥ずかしそうに目を伏せた。


「もう試しになんて言わない。本気でいく。だから・・・俺の事、ちゃんと受け入れてほしい」


 受け入れて欲しい・・・

 そう言われると冬子の目が潤んだ。


「本当に? 私なんかで・・・いいんですか? 」

「お前じゃなきゃだめだ」


 嬉しい・・・

 素直にそう思った冬子。

 優しい颯の唇が冬子の首に・・・鎖骨に降りてくる・・・

 
 全てが心地いい。
 
 
 初めての夜より激しく、求めあう2人・・・・


「愛している。・・・お前、最高・・・」


 お互いの体温・・・心地よいエネルギー・・・


 こんなに体から感じる幸せがあったのだろうか?


 
 
 試しにと言われて始まった2人。



 だが想いは繋がり、本気の恋が始まった。



 早杉さんはもう死んでいる・・・

 そう言う人もいる。


 だが、ここにいる冬子は確かに生きている。

 
 この感覚を颯は信じようと思った。