2022年冬、私たちは高校卒業後の進路を決め、卒業式についての保護者会を体育館でしていた。生徒の隣に親が座るというルールで私の親も隣に座っていいた。そして、保護者会開始時刻14時になると学年主任が、
「えぇー本日はお忙しい中お集まりいただき誠にありがとうございます。今年度の卒業式についてですが…」と、口を開いた。しかし、卒業式については生徒は完璧というほどわかっている。また、保護者への注意事項など、生徒には関係のないことだ。なので、当然不満を持つ生徒もいた。
「うちら関係なくね?だって卒業式の一連の流れだよ!もうこっちは練習してるんだからわかるっつーの!」 1人小声で文句を言うのは私の親友の夏海(なつみ)だった。夏海は口は悪いが、何事にもやる気があって成績はかなり優秀だ。
「ねぇ百合子!今日この後、原宿の新しいパンケーキ屋いこ!ツイッターでめっちゃバズってたから、絶対美味しい!」
今この話をすることか?私だけでなく、他の周りの人もそう思っているだろう。とりあえず、静かにしろと言うポーズをとった。私も本当はパンケーキ屋に行きたいが、私は夏海と違い大学へ行く為、遊んでいる暇がない。そのため、パンケーキ屋に行くことは断った。


1時間以上続いた保護者会が終わり、生徒たちは教室へ向かった。5分間の休み時間が終わり、先生が戻ってくると、生徒たちの、反乱が始まる。
まず、女子生徒数人が、
「レオン先生!さっきの時間いります?一連の流れなんて覚えているんですけど!」
続けて男子生徒数人も、
「絶対いらねぇだろ!」 「マジ腰痛いんだけど!」と、次々と文句を言い出した。私の頭の中は、少しぐらい黙れよ!てめぇら寝てただろ!くだらねぇ理由で子ども痛いにキーキー文句言ってんじゃねぇーよ!今にも声にでそうだった。

私たちの担任の先生は、輝金麗音(ききれおん)といい、輝く金というキラキラネームで、生徒からはレオン先生と呼ばれている。先生はいつも優しくて、みんなから頼りにされる愛されキャラだ。
生徒会が開いた、先生人気ランキングでは、堂々と1位に輝いた。さらに体育祭も、レオン先生のチームが毎回優勝したことからレオン先生のクラスになると、体育祭は必ず優勝するという、伝説も生まれた。生徒の文句に対して先生は、
「じゃあもう帰るか!先生も疲れたし!帰宅帰宅!
よし、受験勉強あるやつは頑張れよ!」と言い、結局その日は、帰りの会もせずに帰った。その時、靴箱に向かう途中にある理科室の鍵が開いてることに気づいた。中では不良と、夏海がひそかに何かをやっている。何か液体のようなものを瓶に詰めている。手袋をしてるってことは相当危険だということがわかる。一体何をしてるんだろう?そう思ったが、勉強がかなり追いついてなかったということもあり、何も言わずに急いで私は家に向かった。


後に私は後悔しました。もしあの時止めてれば、あんなことは起きなかった。1年後の私はそう思った。




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