執務室に連れて行かれサンドイッチ片手に依頼書を捲る。

「ごふぉっ!!」

「きゃキャロルどうした?!」

「あーあーもう、書類なんて見ながら食べるからだよ?」

喉に詰まっちゃうよ?と言われるがそれどころではない。

「あっリアム様、リアム様ってどこにいますか?」

「リアム?
朝だし第一騎士団の訓練所にいるんじゃないか?」

「ちょっと行ってきます。」

「ダメだよ。
ちゃんと食べなきゃ。」

そう嗜められるがそれ所ではない。

レオンがキャロルが先程見ていた依頼書を手に取る。

「…お前これ今日が期限じゃね?」

「…はい。」

ルシウスも紙を覗き込んだ。

「えっと『今年度騎士団入団者の野外演習に使用予定の防具への陣の彫り込み 』30着?
後何着残ってるんだい?」

「…全部です。」

「…あらら。」

そもそも今この書類に気が付いたのだ。

「しかもあれじゃね?
新人の野外演習って明日の早朝出発だろ?
…期限伸ばせないだろ。」

言いづらそうに告げるレオンの言葉にキャロルはがっくりと肩を落とす。

徹夜すれば何とかなるだろうか。

出発前に見なかった自分を殴りたい。

「…分かった。
リアムに防具と道具を持って来て貰うからその間にキャロルは着替えてしまおうね。
大丈夫レオンも手伝うから。」

「えっ俺?」

「私も手伝いたいけれど私自身無理矢理旅行に行った分、執務が溜まりに溜まっててね。
終わったら手伝うよ。」

終わったらと言うが机にこれでもかと言わんばかりに積まれた書類を見る限り、むしろルシウスの方が終わらせられるのか不明だ。

「大丈夫だキャロル。
見合いの時みたいに防具持ち込んで顔合わせしてやろうぜ。」

レオンがニカッと笑って言う。

こいつはむしろ楽しんでいるらしい。

「じゃあもう軽く用意をしてしまおう。
行っておいで。」

キャロルが急いで口にサンドイッチを詰め込むと控えていたメイドに攫われるようにして執務室を後にしたのであった。