ルシウスが立ち上がり通路を飛び出す気配がした。
アルバートの詠唱が止み争う音が聞こえた。
キャロルも体に力が入る様になったのを感じ慌てて通路から顔を覗かせる。
怒号で目が覚めたのかベッドで震えている幼い子供。
虚ろな顔でまだ指先を向けている母親。
眉間に皺を刻み鋭く睨むアルバート。
母親の前に立つフードを目深に被り防護壁を張りキャロルを背にしたルシウス。
キャロルが動いたのが分かったのかルシウスの口元が少しだけ笑顔を作った。
それはあの幼い頃に見たローブの人物そのもので。
幼いキャロルを庇ったのはルシウスで。
笑いかけたのは未来のキャロルに対してで。
手を伸ばし無我夢中で声を振り絞った。
「でんーー」
目の前で爆風が起こり一瞬顔を背ける。
禁術が途中で遮られ暴発したのだと頭のどこかに過ぎる。
砂と木くずで視界が遮られ良く見えない。
キャロルは慌てて通路から飛び出した。
手探りで部屋を歩く。
ぐにゃりとした物を踏んだ感触がし見ると血塗れの千切れた腕であった。
細い指から母親の手だろう。
近くに折れた木片の突き刺さった母親が倒れている。
胃の中の物が込み上げて来そうでキャロルは口を覆った。
床に這いつくばり手探りでルシウスを探す。
生きていて。
頼むからこんな所で死なないで。
友を取り上げたりしないで。
自分の顔から血の気が引いているのが分かる。
手にガラスが突き刺さるが構わず探し続ける。
手が柔らかい物にあたり手繰り寄せた。
白金色の髪が見える。
防護壁で防いでいたからか目立った傷は見えない。
キャロルはホッと息を吐いた。
「殿下!
……ねえ…でん…か………?」
起こそうと頬に触れて気が付いた。
冷たい。
体温を無くした様に冷え切っている。
まるでそれは生者ではないと伝えてくる様で。
喉が締め付けられた様に声が出ない。
心の1番柔らかい部分にナイフを突き立てられたかの様に胸が苦しい。
息の仕方が分からなくなる。
体の中を濁流の様な何かが駆け巡るのが分かる。
悲しい、苦しい、痛い、怖い。
頼むからこいつを連れて行かないで。
初めて出来た友を返して。
神さえ恨む様な憎悪が体を支配する。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!」
アルバートの詠唱が止み争う音が聞こえた。
キャロルも体に力が入る様になったのを感じ慌てて通路から顔を覗かせる。
怒号で目が覚めたのかベッドで震えている幼い子供。
虚ろな顔でまだ指先を向けている母親。
眉間に皺を刻み鋭く睨むアルバート。
母親の前に立つフードを目深に被り防護壁を張りキャロルを背にしたルシウス。
キャロルが動いたのが分かったのかルシウスの口元が少しだけ笑顔を作った。
それはあの幼い頃に見たローブの人物そのもので。
幼いキャロルを庇ったのはルシウスで。
笑いかけたのは未来のキャロルに対してで。
手を伸ばし無我夢中で声を振り絞った。
「でんーー」
目の前で爆風が起こり一瞬顔を背ける。
禁術が途中で遮られ暴発したのだと頭のどこかに過ぎる。
砂と木くずで視界が遮られ良く見えない。
キャロルは慌てて通路から飛び出した。
手探りで部屋を歩く。
ぐにゃりとした物を踏んだ感触がし見ると血塗れの千切れた腕であった。
細い指から母親の手だろう。
近くに折れた木片の突き刺さった母親が倒れている。
胃の中の物が込み上げて来そうでキャロルは口を覆った。
床に這いつくばり手探りでルシウスを探す。
生きていて。
頼むからこんな所で死なないで。
友を取り上げたりしないで。
自分の顔から血の気が引いているのが分かる。
手にガラスが突き刺さるが構わず探し続ける。
手が柔らかい物にあたり手繰り寄せた。
白金色の髪が見える。
防護壁で防いでいたからか目立った傷は見えない。
キャロルはホッと息を吐いた。
「殿下!
……ねえ…でん…か………?」
起こそうと頬に触れて気が付いた。
冷たい。
体温を無くした様に冷え切っている。
まるでそれは生者ではないと伝えてくる様で。
喉が締め付けられた様に声が出ない。
心の1番柔らかい部分にナイフを突き立てられたかの様に胸が苦しい。
息の仕方が分からなくなる。
体の中を濁流の様な何かが駆け巡るのが分かる。
悲しい、苦しい、痛い、怖い。
頼むからこいつを連れて行かないで。
初めて出来た友を返して。
神さえ恨む様な憎悪が体を支配する。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!」

