私の反応を見てからかうことの、どこがそんなに楽しいんだろう。 拓海は知らないでしょ。 その言動ひとつひとつに、どれだけ私が心揺れてるか。 話していたクラスメイトが廊下へ出て行き2人になったタイミングで「ばか」と呟くと、拓海はやっぱり楽しそうに笑った。 「可愛いねぇ、杏ちゃん」 「もう、そればっかりやめて」 拓海のからかい方が、いままでと少し系統が違うことには気付いていた。 だから、やっかいすぎる。 毎日毎日。こんな、恋人みたいに。 ……いっそのこと、本当の恋人だったらいいのに。