片想い同盟



「……って、あれ?」


拓海がいなくなったその席の下に、ポツンと取り残されたハンドタオルを見つけた。


……なにやってんの、あのサッカーバカ。


あんな大急ぎで荷物なんて詰めるから、その拍子に落としちゃったのかもしれない。

部活に行くのにタオルを忘れるなんて。


やれやれと立ち上がった私は、自分の荷物と一緒にそのタオルを手に取る。


拓海のことだ。どうせタオルを使うその瞬間までないことには気付かないはずだから。



それを持った私は、教室を出てグラウンドへ向かった。


サッカー部がいる場所に近づくにつれ、なにやらあたりが賑わっている。



「あれ、遠山さん?」


そのギャラリーたちを掻き分けようか迷っていたそのとき、後ろから大好きな声が私を呼んだ。