おてんば姫の手なずけ方～侯爵の手中にはまりました～

そんなアランに我慢の限界が来たのか、エリックは今にもとびかかりそうな勢いで言葉を発した。

「口を慎め！」

「エリック様、おやめください。すべては私に実績がないのがいけないのです。
アラン殿、今のところ特に功績のない私のことを冒涜するのは目を瞑りましょう。でも、お父様である国王陛下や私の大切な人であるエリック様のことを冒涜するような発言は控えてください」

凛としたたたずまいで正論を言ったリンネのおかげでどうにかこの場は収めることができた。
あらためてリンネとアランは握手を交わすと、さっそく部屋へと案内された。

「リンネ様はこちらの部屋を、エリック様はこちらの部屋をお使いください。
そのほかのお付きでいらっしゃった方々は離れの部屋をお使いください。そちらの方は後程別のメイドが案内いたします」

その場にリンネとエリックだけ残し、先ほどのメイドと一緒に来たブランたちはもと来た廊下を戻っていった。ふたりはそれぞれ用意された部屋へ入り、持ってきていた屋敷で着用する服に着替えることにした。