翌日、リンネはいつものパニエが少しついたドレスではなく、細身のドレスを着させてもらい待っていた。
本当は馬に乗るのだから、乗馬用の裾の長いドレスを着るのが正解なのだが、それを着てしまったら一瞬でばれてしまうために着ることができなかった。

「リンネ様、ほんとうに細身のドレスでよろしいのですか?
多少のパニエであれば馬車に乗っていても邪魔にはならないも思いますが…」

細身のドレスを着付けながらも、マリアはこれで本当にいいのかとずっと疑問に思っていたようだった。

「うん、いいの。
だってパニエでドレスが広がっていてはほんの少しでもエリック様が座る場所が少なくなってしまうでしょ?それにパニエが邪魔で近くに座れないわ」

まるでもっともだと言えるような言い訳に疑問に思っていたマリアも「わかりました、もうお腹一杯なので大丈夫です」とそれ以上追求することはなかった。

「今日はブーツを履くことにするわ。
もしかしたらエリック様がどこかに連れていってくれるかもしれないから、あまりヒールが高くない靴を履きたいの。
このドレスに合うブーツを用意してくれる?」

いくら細身のドレスを着ているといえども、馬に乗れば多少は足元の裾があがってしまうので、リンネはブーツを履いて素足が見えることを防ぐことにした。
マリアは茶色のブーツを用意した。このブーツは基本どのようなドレスにも合うようになっており、無難な選択といえる。