まもなく昼食の時間ということもあり、メグはクレアの部屋を再度訪ねた。

「まもなく昼食の時間になります。
準備を手伝わせていただきます」

メグはクレアにそう声をかけると奥のクローゼットから涼しげな水色のデイドレスを手にして戻ってきた。

1日に何度も着替えなければならない主人の着替えを手伝うのも使用人として必要なことだった。

手早くクレアのドレスを着替えさせたメグは次にクレアの髪を結びだした。

先ほどまではずっと室内で本を読んでいたため、クレアの髪はひとつにまとめられている。

その髪を一旦ほどき、丁寧にブラシで梳いた後ハーフアップにまとめなおした。

涼しげなドレスには派手にまとめるよりも少し簡素な結び方のほうが似合うと考えたうえでのことだった。

ただこのままでは少し見劣りしてしまうので、パールや小さな花がついたピンを数か所アクセントとして髪に挿した。

化粧はそこまで崩れていなかったので、少しだけ手直しをしてクレアの身支度準備は終了した。

「お待たせいたしました。
それでは昼食会場へと移動しましょう」

後宮に来たのが遅い人から昼食会場の席につかなければいけないという暗黙のルールが存在する後宮において、来たのが3番目に遅いクレアはなるべく早く移動しなければならなかった。

クレアはメグとともに部屋を後にすると昼食会場へと歩いて行った。

昼食会場の扉を開け、クレアが座る椅子を引いた後メグは先に来ていたほかの使用人同様昼食会場の隅で全員がそろうのを待っていた。