おてんば姫の手なずけ方~侯爵の手中にはまりました~

リンネの戻りに気がついたエリックとメグは隣の部屋から出てきた。

エリックは紅茶の準備を、メグはリンネの正装を解いてあげ普段着用のドレスに着替えさせた。それにあわせて化粧も少し薄いものに手直しをした。

「メグ、もう落ち着いた?」

エリックからもらった紅茶を片手にリンネはメグに話を振った。

「お騒がせして大変申し訳ございません。
もう落ち着きました」

「それならよかった。

メグに朗報を持ち帰ったわ。
明後日の後宮の使用人試験、受けていいって。皇太子様から許可を得て来たわ」

リンネは試験の内容は当日まで公表されないこと、採点に関して優遇はないことをメグに伝えた。

それを聞いたメグは「頑張ります」と力強く答えた。

リンネは試験までの間、自分の世話をしなくてもいい、エリックに任せるからとメグに伝えたが、メグは試験勉強になるので、今まで通りお仕えしますと答えた。

次にエリックの方を向いて、エリックに話しかけた。

「エリック、早ければ明日くらいからアッサム地域の人々を探しに行くわ。

最初は国境警備隊のところに行ってこの国に入国したのが本当なのかを確認する。ちゃんと皇帝陛下から書状をもらってきたから、これで答えてくれるはず。

貴方も一緒に来てくれないかしら?
移動は全て馬だから、メグを連れていくことはできないの。

いくら護衛をつけてくれるとおっしゃってくれたけど、さすがにエルディール王国の王女が他国の護衛だけに守られてるってのは変だから。

形だけでいいから、着いてきてちょうだい」

エリックは「かしこまりました」と頭を下げると、部屋を出ていこうとした。いったい何があったのかとリンネが戸惑いながら聞くと、エリックは満面の笑みで答えた。

「王女様は馬を何頭頼みました?
私と王女様が同じ馬に乗ってもいいなら私はこのままここにいますけど、使用人と王女が同じ馬に乗ってると誤解されてしまうから、もう一頭馬を用意してもらうように、厩舎に行って頼んできます」

「あっ、ありがとう…
頼んだわ」

リンネの行動はすべてエリックにばれており、エリックはそれをほどよくからかいながら部屋を後にした。