目上の人と謁見を申し込んだもの、どちらから声をかければいいのかわからなかったリンネは椅子に座ったまま、相手が声を発するまで人形のように固くなって待っていた。
「私はサハール皇国皇帝ジャン・ヴェス・サハールだ。隣にいるのは我が息子で皇太子オジー・ヴァン・サハール。
そんなに堅苦しくするでない。
エルディール王国も大変なようだな…
確か、皇太子になったらしいな」
「よろしくお願いいたします。
ありがとうございます。
えぇ、まだ皇太子になってから2ヶ月がやっと経とうとしている若輩者ですが…
まだどのようなことをするのが皇太子の仕事なのかわからないので、帰ったら国王陛下に教えてもらわないとですが…」
最初はリンネの気を緩めようとしたのか、皇帝は最初から本題に入らずリンネの身の回りに起こったであろうことから話を始めた。
「なんでも今はほとんど城にいないと。
周辺諸国の人はエルディール王国の皇太子が城に留まることを嫌っているという噂だが、実際のところは?
差し支えなければ教えてくれ。
隣国だからこれからは今以上に交流を深めたいと思っている」
別にお城にいることが嫌いなわけでは無いのに、と苦笑いになりながら皇帝の質問に答えた。
「国王から与えられた試練のためですわ。
当初の約束よりも早く皇太子になりましたが、本来は私が今抱えている問題を解決できたら皇太子にしてくれるという約束でしたので。
お城にいるだけでは民は救えません!
自分の目で現状を見て把握することも必要だと私は考えているので」
「なるほど、そういうことだったのか。
リンネ王女が与えられた試練というのは聞かないでおこう。国の内部に他国が関わることではないから」
リンネの当初のイメージでは、サハール皇国の皇帝はもっと冷酷な人で怖いイメージだった。しかし実際に会ってみると、まったくそのようなことはなく、気楽に話せる優しい皇帝だった。
「私はサハール皇国皇帝ジャン・ヴェス・サハールだ。隣にいるのは我が息子で皇太子オジー・ヴァン・サハール。
そんなに堅苦しくするでない。
エルディール王国も大変なようだな…
確か、皇太子になったらしいな」
「よろしくお願いいたします。
ありがとうございます。
えぇ、まだ皇太子になってから2ヶ月がやっと経とうとしている若輩者ですが…
まだどのようなことをするのが皇太子の仕事なのかわからないので、帰ったら国王陛下に教えてもらわないとですが…」
最初はリンネの気を緩めようとしたのか、皇帝は最初から本題に入らずリンネの身の回りに起こったであろうことから話を始めた。
「なんでも今はほとんど城にいないと。
周辺諸国の人はエルディール王国の皇太子が城に留まることを嫌っているという噂だが、実際のところは?
差し支えなければ教えてくれ。
隣国だからこれからは今以上に交流を深めたいと思っている」
別にお城にいることが嫌いなわけでは無いのに、と苦笑いになりながら皇帝の質問に答えた。
「国王から与えられた試練のためですわ。
当初の約束よりも早く皇太子になりましたが、本来は私が今抱えている問題を解決できたら皇太子にしてくれるという約束でしたので。
お城にいるだけでは民は救えません!
自分の目で現状を見て把握することも必要だと私は考えているので」
「なるほど、そういうことだったのか。
リンネ王女が与えられた試練というのは聞かないでおこう。国の内部に他国が関わることではないから」
リンネの当初のイメージでは、サハール皇国の皇帝はもっと冷酷な人で怖いイメージだった。しかし実際に会ってみると、まったくそのようなことはなく、気楽に話せる優しい皇帝だった。

