「それで!………ちゃんに透子ちゃんのお見舞いに行ってほしいの、一回だけでいいから」
 お見舞い?
 思ってもいなかったワードに、本に移していた目を義母に向ける。
 「………何で私?」
 首をかしげる仕草をして義母に問いかける。
 透子、といえばあの人気者だった奴だ。
 誰とも話をしない私とは間反対な人柄で、明るくクラスの中心だった彼女。明らかにかけ離れた道を歩んできた私と彼女。
 そんな彼女のお見舞いになぜ話したこともない私が行くのだろうか。