『……心結』
低く、かすれた声……。
名前を呼ばれただけなのに、胸がキュッと縮まって、ドキリとした。
その声は今でもよく覚えていて、
忘れることはない。
そして、消えてしまいそうな声が
微かに耳に届いた……。
『好きだよ……』
同時にふわっと、甘い匂いが鼻をかすめた。
……それはまぎれもなく、
わたしの好きな人の匂いで……。
この瞬間、パッと凪くんの顔が浮かんだ。
ふわふわした感覚だったから、
夢なのかと思ったけれど、夢にしては妙に鮮明に残っていた。
次に目が覚めた時には、わたしのそばには誰もいなくて、保健室にいたのは養護教諭の先生だけだった。
やっぱり夢だったのかって、その時は思ったけれど、翌日京香から聞いた話だと、倒れたわたしを保健室に運んでくれたのは凪くんだったらしい。

