あかいろのしずく

昨日はあんなに怖がっていたのに、平気なんでしょうか。

そんな僕の心配をよそに、純は窓を開けました。





瞬間、飛ばされそうな風が吹き、部屋の空気をかき混ぜます。


四月までは桜の香りを運んでいたそれは、今ではすっかり若葉風となり、頬に触れるとほんのり温かくて。


純の髪はさらさらと後ろに流れ、僕は素直にそれを綺麗だと思いました。
窓の奥には怖いものなど何もなく、ただ静かに、透き通った青空が待っていました。



純が振り向きます。




「くしゃみ出ないね?」




逆光に影を落としながらも、純の顔がはっきりと見えました。本当に、昨日の出来事が嘘のような、爽やかな笑顔でした。




「治ったのかもしれません」





僕は嬉しくて、つられて笑いました。