分かってあげたい何かが、あったように思えました。
けれど、言葉にしてくれないものは、形にはなりません。
僕は純の気持ちを捏造するわけにはいかないのです。
「そう見える?」
「見えますよ」
一言一言を発するのに勇気がいることを、純は分かってくれているんでしょうか。僕は頑張っても純にかわされて、いつも空回りしている。
そして今日も、同じことを繰り返すのです。
「ごめんね先生。また明日来るよ」
純は携帯を片手に、カバンの紐を肩にかけて部屋を出て行きました。
この時からかもしれません。
僕が知らない間に純に何かが起こっているのではないかと、疑い始めたのは。



