あかいろのしずく


「ほかに用途は?」

「別にちょっとした会話ならいいけど。なんで?」

「いや、別に」



進歩です、色んな意味で。

これで僕は純の異変にも気づける。
こまめに連絡だって取れるし、すぐに駆け付けることもできるかもしれない。


そう思うと思わず、安堵の笑みがこぼれました。



「じゃあね、先生。また明日!」

「え、あ、今日は送っ......」

「えー、なんか言ったー?」



送りましょうか。
その言葉を頭に浮かべてから、僕は首を振りました。


純が言う通りなのです。

焦らなくてもいい。頑張りすぎなくていいんです。
そうだ。僕が追いかけなくたって純はそこにいて、逃げたりはしない。





「さようなら」





僕は手を振りました。
純はにこっと笑って手を振り返してくれました。

走っていく足取りは軽やかで、僕も心が軽くなった気がしました。