「教えられない事ばかりだけど、それでもいいですか」
「はい」
「大事なことは言えないけど、それでもいいですか」
「はい」
純は頷きます。
僕はゆっくりと息を吐き出すように、言いました。
「大切な人が何人か、僕のせいでいなくなったんです」
本当は、そこまで大切じゃないのかもしれないけど。
でも、ずっと引きずっているんです。
それから僕は、
「忘れる方法が、知りたいです」
純の目を真っすぐ見て、訴えかけました。
純が沈黙して、辺りに雨音が響き渡りました。
それに絡みつく秒針の音。自分の息の音。
純は考えていました。すぐに答えを出すことは困難でしょう。
僕は純が口を開くのを、静かに待っていました。



