命令恋愛

「香菜美には関係ないじゃん。なんで首を突っ込もうとするの？」


「関係なくないよ！　あたしは優奈の友達じゃん！」


「友達ならバイトのことまで首を突っ込んでいいの？　あたしはそんな風には思わないけど」


強い口調でそう言うと、香菜美は驚いた表情をあたしへ向けた。


まさかそんな風に言われるとは考えてもいなかったのだろう。


「最近の香菜美はちょっと神経質になりすぎなんだよ」


「……本当に、そんな風に思ってるの？」


香菜美の真由はハの字に垂れた。


今にも泣いてしまいそうな顔に、一瞬胸が痛む。


でも、ここで突き放しておかなければ香菜美はまた首を突っ込んでくるだろう。


余計なお世話だった。


「思ってるよ」


「……そう」


あたしが肯定すると、香菜美はうなだれるようにして自分の席へ戻っていたのだった。