「冗談って……」


香菜美はそう呟き、黙り込んでしまった。


あたしには香菜美がどうしてそんなことをいうのかわからなかった。


今はちょっと京太と喧嘩をしてしまって離れているだけだ。


そりゃあ、ゲームの恭介にハマってることは確かだけれど、あたしはまだ京太と別れるつもりはなかった。


「ねぇ、優奈。1度他の人と付き合ってみたらどうかな?」


「へ?」


「ほら、京太君よりいい人がいるかもしれないでしょ?」


香菜美の言葉に真っ先に脳裏に浮かんできたのは、ゲームの中の恭介だった。


恭介はあたし好みの男の子だし、最近ユウナとの距離も近い。


「う~ん。そうだねぇ」


「その気になってくれた?」


なぜか嬉しそうな表情をする香菜美。


「恭介が相手ならいいかもね」


あたしがスマホ画面を見せてそう言うと、香菜美は大きくため息を吐き出したのだった。