命令恋愛

「なに言ってんの……?」


信じられなくて、あたしは達治を見上げた。


「お前らが、俺に言った言葉だ。何度も何度も、毎日毎日繰り返した言葉だ。『死んでよ』覚えてないのか?」


達治の声が怒りで震え始めた。


倒れた千秋はまた血を吐き、痙攣し始める。


「お願い達治……! 謝るから!」


「今更謝ってどうなる? 俺はお前らのせいで中学に行くこともできなくて、引きこもってたんだぞ! 15になってからはすぐに会社で働くことになって、送れるはずだった高校生活を、全部スーツに身を包んで過ごしたんだ!」


達治は唾を吐きながら怒鳴り続ける。


千秋の痙攣は時々激しさを増し、そして次第に静かになって行った。


床にはまだ暖かな血が広がっている。