と言っても、都合よく割れた蛍光灯なんて家にあるはずがなかった。


あたしは押し入れの中から使用済の蛍光灯を取り出して、庭へ出た。


コンクリートの上に蛍光灯を置き、レンガを1つ手に取ってそれを叩き割った。


細かな破片があちこちに飛び散り、思ったよりも大きな音が鳴る。


幸いにも母親は今買い物で出かけている。


だからこそ、やるなら今しかなかった。


あたしは靴を脱いで素足になると、そっと割れた蛍光灯の上に立った。


細かな破片が鋭利な刃物になって足裏に突き刺さる。


あたしは痛みに顔を歪めながらも、その上を歩いた。


今までやられて来たことに比べれば、このくらいの傷どうってことはない。


自分自身にそう言い聞かせた。


そして数分後。


蛍光灯の上を歩ききったあたしは大きく息を吐きだしていた。


足の裏を確認するとあらゆる箇所から血がにじみ出ている。


まだ突き刺さったままの蛍光灯の破片を、一つ一つ指先で取り除いていく。


「できたわよ。ざまぁみろ」


あたしは小さな声でそう言ったのだった。