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B組へ向かってみると、チヒロの姿はなかった。


最近のチヒロは、あたしや香菜美から逃げているように見える。


捕まって話を聞かれるのが面倒なのかもしれない。


今は休憩時間だから担任教師の姿もなかったが、チヒロと仲のいい女子生徒を見つけることができた。


友達の両親のことを知っているかどうか怪しいけれど、聞くだけ聞いてみてもいいかもしれない。


「真衣ちゃん、ちょっといい?」


チヒロの友人を手招きしてこちらへ呼ぶと、真衣ちゃんは笑顔で駆け寄って来た。


「なに?」


「あの、ちょっと聞きたことがあって」


そこまで言ってあたしは口を閉じた。