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それから2時間ほど経過した時、駅の中にいる制服姿の学生は少なくなり、代わりにサラリーマンが多くなりはじめていた。


達治らしい人物はまだ見つかっていない。


今日は駅を利用しないのかもしれない。


そう思った時、スマホが震えた。


画面を確認してみると、母親からの着信だ。


家を出てから随分時間が経っているから、怒っているのかもしれない。


そう思いながら電話に出ると、案の定あたしを心配している声が聞こえて来た。


「ごめん、もう帰るから」


あたしはそう言い電話を切った。


「ごめん香菜美、ここまで手伝ってくれたのに今日はもう帰らなきゃ」


「大丈夫だよ。少し進展したんだしこうしてみんなで動いていれば、きっとなにか見つけられる」


「うん」


あたしも香菜美の言葉を信じる。