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美世が達治に似た人を見た駅は、歩いて20分ほどの場所にあった。


傷だらけの体で歩くのは辛かったけれど、達治に会う事ができればきっとなにかがわかるはずだ。


その気持ちだけで、あたしは駅へむかうことができた。


「放課後だから学生が多いね」


駅の中は様々な制服を着た学生たちで溢れかえっている。


「達治はどこの制服だったの?」


あたしは美世へそう聞いた。


すると美世は左右に首を振り「ううん。私服だったよ」と、答えた。


「私服ってことは、休日に達治って人を見かけたの?」


そう聞いたのは香菜美だ。


「ううん。平日の今日と同じくらいの時間だったよ。そう言われたら変だね、学校に行ってないのかも」