歯を食いしばって痛み耐えて、個室のドアをあけた。


誰かが水を流していない状態でトイレを出たようで、トイレットペーパーが浮かんでいる。


こんな時に……!


脂汗が額に浮かんで来て、呼吸が徐々に荒くなっていく。


あたしは隣の個室をあけた。


こっちの方がまだ綺麗だ。


それでも、便器を舐めるなんて抵抗が強かった。


「優奈、血が……」


ついてきた香菜美にそう言われ、白いシャツに血が滲んでいるのがわかった。


「体操着に着替えるから大丈夫」


そう返事をして、床に膝をつく。


アンモニアの匂いがツンッと鼻を刺激して、吐き気が込み上げて来る。