《優奈:瞼を縫い付けられた》


《香菜美:そんな……。なにか思い出したことはないの?》


《優奈:まだ、なにも》


恭介が話し始めるのはあたしに命令するときだけだ。


その時の声をしっかり覚えておこうとしても、恐怖や混乱が勝ってなかなか記憶していられない。


《優奈;だけど、絶対に聞き覚えのある声なんだよね》


《香菜美:それなら、昔の写真とか見て見たらどう? もしかしたら、幼稚園とか小学校時代の知り合いとかかもしれないよ?》


幼い頃の知り合いなら、ハッキリ覚えていなくても不思議じゃなかった。


たしか卒業アルバムがあるはずだ。


思い出せるかどうかわからないけれど、確認してみてもいいかもしれない。


《優奈;そうだね。ちょっと確認してみる》