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夜になったあたしの机の上には、ピンク色のマニキュアが置かれていた。


あたしにとっては全く必要のない、ただのゴミだ。


右目は所毒をして、眼帯を付けている。


しっかり冷やしたけれど、腫れはまだまだ引きそうになかった。


最初に針で刺された指先は、ようやく治ってきていたところだった。


「最初は簡単だったのに……」


あたしはベッドに寝転んでそう呟いた。


恭介の命令はどんどんエスカレートして行っている。


最初の朝食を作る命令なんて、可愛いものだった。


これから先、どれほどの命令がくだされるのか、どれほどの仕打ちがまっているのか、考えるだけで心が疲弊していく。


「あたしが何をしたの……?」


そう聞いてみても、恭介は黙りこくっていたのだった。