ゆるゆると力なく起き上がり、どうにか鞄からスマホを取り出した。


「恭介……」


「なぁユウナ?」


首をかしげて名前を呼ぶ恭介の手には、針と糸。


「今度はなにをするつもり?」


「コンビニで万引きしてきてくれよ」


「あたしの声、聞こえてるんでしょ? ちゃんと質問に答えてよ!!」


恭介のしらを切るような態度に苛立ち、スマホへ向けて怒鳴っていた。


画面上の恭介は楽し気な笑顔を浮かべている。


「なぁ、ユウナ――?」


途端に、恭介が持っていた針を自分の右目の瞼に突き刺した。


そのまま上瞼と下瞼を縫い付けて行く。


「嫌……」


あたしはそう呟き、左右に首を振った。