最低だった。


警察から解放されたあたしは、ようやく家に戻ってくることができていた。


「空家に不法侵入なんかして、なに考えてるの!」


警察署まで迎えに来てくれた母親は、ずっと怒りっぱなしだ。


「ごめんなさい」


あたしはうなだれてそう言うしかなかった。


でも、心の中は少しだけ幸せだった。


だって、あたしの不法侵入がバレて警察を呼ばれた時、京太が出てきてくれたのだ。


『優奈も、なにか事情があったんだと思います』


必死になって、そう言ってくれた。


その光景を思い出すと、自然と頬がにやけて行く。


やっぱり京太はまだあたしのことが好きなんだ。