命令恋愛

あたしは歯を食いしばり、震える手で紙切れを確認した。


すでに頭に入っている方程式を確認し、解答用紙に向かう。


しかし、汗をかいて震える手から、シャーペンが落ちてしまった。


カランッと音を立てて床に転がる。


こんな時に……!


シャーペンを取るために立ち上がろうとしたとき、教卓から先生が近づいて来た。


ハッと息を飲み、紙切れを机の奥へと押し込む。


「はい、どうぞ」


先生はシャーペンを取り、あたしへ向けて差し出す。


「ありがとうございます」


痛みで震える声でそう言い、手を伸ばす。


その瞬間、またバチンッ!と聞こえて来た。


痛みが全身に駆け抜けてシャーペンを取り損ねてしまう。