「なんで!?」


今日は自分の部屋に置いて来たはずだ。


意識して持って来なかったんだから、間違いない。


「間違えて持って来たとか?」


香菜美は首をかしげてそう聞いてくる。


「そんな……」


「それか、気が付いたお母さんが鞄に入れてくれたとかじゃない?」


香菜美の言葉にあたしは横に首を振った。


今日、両親はあたしの部屋に入っていない。


起きてから家を出るまで、リビングに一緒にいたのだから間違いのない事実だった。


徐々に自分の顔が青ざめて行くのがわかった。


「落ち着いて優奈。きっとただの勘違いだから」


「うん……そうだよね」


そう答えながらも、口の中はカラカラに乾いていたのだった。