結局、学校にいる間はスマホのバッテリーを抜いておくことになった。


香菜美がその方がいいと言ってくれたのだ。


「明日は俺のために朝食を作ってくれよ」


恭介がそう言い出したのは、夜寝る前になってからだった。


家にいる間は誰かから連絡が来るかもしれないから、バッテリーを入れた状態にしていた。


その事を後悔しつつ、あたしはスマホの画面を見た。


画面上の恭介はとくに怒っている様子はない。


今日は昼間に少し会話ができたからかもしれない。


「なぁ頼むよ」


そう言う恭介の右手には針のようなものが握りしめらている。


「なにこれ」


あたしはそう呟き、スマホのバッテリーを抜いたのだった。