「それより、早くプレイしなよ? あんたの恭介随分怒ってるんじゃない?」


そう言われて、あたしは不機嫌そうな表情の恭介を思い出した。


「あんなの、ゲームだし……」


「まだわからないの? まぁ、あたしは困らないから別にいいけど」


そう言って教室に入ろうとするチヒロを、香菜美が止めた。


「もう1つ、質問がしたいんだけど」


「なに?」


「どうして消せないようなゲームを優奈のスマホに入れたの?」


その質問に、チヒロがあたしへ視線を移動させた。


その目はあたしの体を射抜いてしまうほど険しかった。


「そんなの、自分で考えれば?」


チヒロは冷たい声でそう言い、B組に入って行ってしまったのだった。