命令恋愛

今、男の声がハッキリ聞こえた。


寝ぼけていたわけじゃない。


それでも、部屋の中にはあたし以外誰の姿もなかった。


「今の声はなに……?」


そう呟いたときだった。


「俺だよユウナ」


また、聞こえた!


ハッとして声のした方へ視線を向けると、そこにはスマホが置かれていた。


代用機の白いスマホの画面に、恭介の顔が映っている。


「なんで? ゲームの起動なんてしてないのに……」


そう言い、ゆっくりとスマホに近づいた。