「優奈、今日優奈の家に行ってもいい?」


放課後になり、教室から出ようとしたところで香菜美にそう声をかけられた。


「え?」


「なんか……あたしも力になりたくて」


香菜美はそう言ってあたしの手を握りしめた。


「優奈はちょっと愛情のかけ方が下手だけど、でもいい子だって知ってるし。友達だし……」


照れくさいのか、最後の方はほとんど聞き取れなかった。


それでも香菜美の気持ちは痛いほど伝わって来て、嬉しさが込み上げて来た。


こんなあたしを友達だと言ってくれる。


「ありがとう。香菜美がいてくれたら、なにかわかるかもしれない」


具体的にこれから先どうするかなんて決めていなかったけれど、本当にそんな気がしていたのだった。