命令恋愛

あたしのことを噂している子は誰もいない。


「顔色悪いよ?」


「そう……?」


あたしは自分の頬に両手を当てた。


指先がすごく冷たくて、少し痺れている感じがする。


緊張と恐怖とが交互に押し寄せて来る。


「えぇ? まじで? やばくない?」


突如聞こえて来たその声に、あたしは椅子を倒して立ち上がっていた。


今の声、誰!?


教室内にいるクラスメート全員が怪しく見える。


みんながあたしを見て悪口を言っているように感じる。


「優奈?」


心配した香菜美があたしの肩に手を伸ばしてきた。


咄嗟にその手を振り払うと、香菜美は驚いた表情をこちらへ向けた。