私の不安とは裏腹に、レオンとリラは楽しそうにおしゃべり中だ。

レオンは馬車の窓から流れ見える景色の説明をし、リラはその話をニコニコしながら聞いている。

彼の幼子にも分かりやすい説明に感心した。

私もレオンも身近に子供がいない環境で育っている。

幼子の世話をした経験の無かった私はリラを育てるのに苦労したのだけれど、彼は離れていた

四年の間に子供と触れ合う機会が有ったのだろうか。

じっと見つめていると視線に気づいたのか、レオンがこちらを向いた。

「どうした?」

「あの……随分子供に慣れてるなと思って」

「そんなことはない、ただリラとは気が合うな」

レオンの目が意味深に細められる。

彼は自分がリラの父親だからだと言いたいのだろう。

私は気まずさに目を伏せた。

成り行きでレオンと共にラヴァンディエに行く事になったけれど、今更のように不安が募る。

リラの身体のことが一番だから他に方法はなく正しい選択のはずだけれど、この旅でリラとの距離を縮めたレオンが親権を主張して来たら。

この前話し合った時は、私の気持ちを理解してくれた様子だったけれど、気が変わることだってあるだろう。

ラヴァンディエ帝国に入ったあとにレオンがリラを側に置きたいと主張したら、私はどうすればいいの?

思い悩んでいるとレオンの声が耳に届いた。