ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています

「なるべく早く取り掛かるようにします」

「ありがとう。助かるよ。」

そう言うと彼はリラの部屋の方を向きながら言った。

「リラは寝ているのか?」

「ええ」

「様子を見ても?」

そう言われてはっとした。寝室にはレオンが居るんだった。

セルジュが来ていることにも気付いているかもしれない。

「あ、あの……」

どうしよう。レオンとセルジュを合わせる訳にはいかない。

レオンは昨日、領主様の使者のひとりとしてセルジュに会っているのだ。

私の家に居ることが知られたら、揉め事になる恐れがある。

「リース? どうかしたのか?」

セルジュが不審そうに眉をひそめる。

答えられないでいると、リラの寝室の扉が静かに開きレオンが出て来た。

やはりセルジュの訪問に気付いていたようで、こちらに視線を向けながら近づいて来る。

「え?……あなたは……」

セルジュが困惑した様子で呟く。

レオンは堂々とした態度で近づいて来ると、私の隣で立ち止った。

「事情は説明したのか?」

「はい、リラのことは」

私達のやり取りを聞いていてセルジュは、躊躇いを見せながら話に入って来た。

「あの、失礼ですがなぜあなたがここに? リースと知り合いだったのですか?」

不審そうな表情をするセルジュの疑問は当然だ。

私はとても気まずく感じたけれど、レオンは気にした様子もなく平然と頷いた。