ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています

帝国兵が去ってから二月後、お父様の元にレオンの関係者と名乗る男性が訪れた。

レオンは無事逃げ延び、今はガディオ家の皆と共に第七皇子に対抗しているとの報告だった。

「良かった!」

彼が無事だった。心からホッとする私に、男性は一通の手紙を差し出して来た。

レオンからの手紙だと思い喜び受け取ったけれど、それはソフィア様からのものだった。

皇帝の側室として帝都の王宮で暮らしていたソフィア様と私は面識がない。レオンから話を聞いてたので親しみは感じていたけれど、直接手紙を貰うなんて初めてのことだ。

私は少しの緊張と期待を抱きながら手紙を開封する。だけど中の文に目を通した途端衝撃を受け息を呑んだ。

【レオンのことは忘れ身を退いて下さい】

手紙にはそう書かれていた。

彼と第七皇子との関係はもう穏便には済ませられない状況になっているが今のままでは不利な為、有力貴族である公爵家の姫君と婚約させると。

【長くレオンを支えてくれたあなたに心から感謝しています。ですが彼の無事を願うなら身を引いて下さい】

私は激しく動揺してしまい、使いの男性に返事も出来ずに部屋に閉じこもった。

涙が次から次へと溢れて来る。

レオンと別れるなんて考えられない。今までだって考えたこともなかった。だって子供の頃から彼だけを見て来たのだもの。

この先もずっと一緒に生きて行けるのだと、疑いもなく信じていたのに……。

「諦められる訳ないよ……」

どうやったってレオンを忘れられない。

レオンだけを愛しているのだから。