「まさかオリーヴィア様がリラを……だからクッキーのことまで知っているのですか?」

震える声で呟く。

「そうだとして、あなたはどうするのかしら」

くすりと笑いながら言われた私は、かっとしてテーブルから身を乗り出した。

その瞬間、それまで無言で姫の背後に控えていた護衛の男性が前に出て来た。

「姫君に無礼を働く者は、誰であろうと容赦しない」

訓練された体付きの男性に威嚇され、私はびくりと身体を震わせた。

怯んだ私に冷めた目を向けたオリーヴィア様が、ゆっくりと椅子から立ち上がる。

「これ以上子供を危険にさらしたくないでしょう。しっかり考えなさい」

これは脅しだ。

そう理解した私は何も言えず立ち去って行くオリーヴィア様の後ろ姿を見送ることしか出来なかった。